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カーサ・コステ・ピアーネ
Casa Costepiane カーサ・コステ・ピアーネ
ヴェネト州で極上の辛口スパークリング、プロセッコ・シュール・リーを手がける、カーサ・コステ・ピアーネ。造り手であるフォッラドール家は代々、ブドウ栽培、ワイン生産を行ってきましたが、1983年から本格的にボトリングを開始。瓶内2次醗酵を促す際に一切酵母や糖分を加えず、ワインに若干残った糖分と野生酵母を利用して造る微発泡性のワイン、プロセッコ・シュール・リーが主要な製品です。
代々造っていながら83年からボトリング?と不思議に思われるかもしれませんが、このあたりの地域では、当時、地場消費される分に関しては量り売りで取引されることが多かったと言います。春先、一般の顧客が大瓶を持ってワイナリーを訪れ、まだ発泡していない前年のワインを購入します。そのワインをしばらく気温の低くない所に置いておくと、自然と微細な2次醗酵が始まります。この醗酵がある程度活発になった段階で、ボトリングし、2‐3ヶ月も置いておくと、れっきとした微発泡性のワインとなるのです。 それを1年かけて飲み、また次の年も同じ事を繰り返していく。
一般の消費者にとっては、ボトルをリユースすることで、その分だけ安価に購入できますし、自家用であるためラベルがなくても問題はありません。日本人はラベルが付いたワインが普通だと思っていますが、ほんの5-60年前に戻れば、牛を飼い、畑で野菜や穀物を育て、自家消費用のワインを造る程度の大きさのブドウ畑を持つことは普通のことなのです。
83年から開始したというボトリングも、地元以外での消費を当て込んで、そもそも顧客が自分たちの家でやっていた事を彼らが代わりにやったというだけのことでした。しかし、もうすでにこの頃には、テクノロジーを導入して生産されたスパークリングワインが主流となっており、うっすらとは言え、濁りのある彼らのプロセッコは見向きもされなかったと言います。この伝統的な造りのプロセッコが市場で全く評価されない状況がもう何年も続くようなら、そして生きていくために市場で受けるためのワインを造らなければいけなくなるようなら、ワイナリーを廃業させるつもりだと当主のローリス フォッラドールは子供たちに話していたと言います。幸い、徐々に彼らのワインを評価する人たちが現れ、今現在では在庫が1年と保たないまでに売れるようになり、ローリスの成功に触発されて、何人かの造り手が昔ながらの手法を採用したワインも生産するようになりました。
ローリスは自分のシュール・リーのことを誇りを持って"薄い(淡い)ワイン"と表現します。シンプルさ、いい意味での単純明快さ、そしてあの偉大な飲み心地こそがシュール・リーの持ち味だと確信していて、その言葉の裏には、濃い(尊大な)ものばかりが良いものとされる世の中に対する彼なりの矜持を感じます。事実、彼らのシュール・リーほどに優しさや、飲み手に寄り添ってくれるような懐深さを備えたワインは存在しません。アンジョリーノが他のワインを表現するのに使った表現ですが、まさにこのシュール・リーにぴったりな言葉、"小さく偉大なワイン"。
毎日飲むことを楽しむことのできない濃くて尊大なワインでなく、日々心地良くしみわたるこの"小さく偉大なワイン"をぜひ一度お試し頂きたいと思います。《輸入元資料より》