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ラ・チェッレータ
Podere La Cerreta ラ・チェッレータ
1986年、ダニエーレ・マッザンティはリヴォルノの南、ボルゲリやスヴェレートから内陸に入ったサッセッタの山奥に土地を購入。何もない未開の土地に、自ら小屋を建て、畑を耕し、野菜の栽培、牛や豚、鶏などの飼育、自然に敬意を表した生活、チェッレータという一つの共同体であり、循環型社会を実践。現在は農園で、穀物や野菜類の栽培から家畜類(水牛やマッキャイオーロ豚なども)の飼育、それをはじめとしたパンやチーズ、サラミなどの加工品はもちろんのこと、養蜂やオリーブ、そしてブドウの栽培によって、蜂蜜やオリーブオイル、ワインの醸造など、生活に必要なすべてのものを、自分たちで生産するに至っている。
ワインの醸造については、2007年あたりから長男であるマティアが栽培と醸造を担当。畑は現在8.5ha、栽培は一切の農薬類を使用せず、ビオデナミ式の調剤と、自家製の熟成堆肥を使用。標高180m〜250m、海岸から直線距離で5kmしか離れていない土地は、砂質、地中深くにある石灰質土壌、海岸特有の暖かい空気と塩気を帯びた風と、岩石や鉱石(水晶、石英)が多く赤土が多い山岳特有の土壌という二面性を持った環境。醸造は基本的に収穫した果実以外、一切の添加・温度管理等を行わない。ヴェルメンティーノは収穫後、除梗せずにそのまま圧搾、使い古した木樽とステンレス製の醗酵桶を使って、時間をかけて醗酵。赤に関しては除梗し、3週間のマセレーション(果皮の浸漬)を行い、木樽にて18〜24か月の熟成。チェッレータという土地の個性をワインに表現し始めた。また2009年より、新しい試みとして地品種をそれぞれ単一でボトリングを開始。
「ワインを架け橋に世界を繋ぎたい」と言うのはトスカーナ、マレンマの山奥でラ・チェレータを運営するダニエーレ・マッザンティ。ラ・チェレータでは30年前から、質の高い地域伝統の農畜産物を生産するため、主に家族が中心となって自己完結型農業を行っています。
農園の総面積は約75haで、うち葡萄栽培面積は10ha程度。様々な植生の森林を守り、葡萄を含めた伝統的に栽培されている作物や果樹、同じくこの地域原産の家畜など、地域本来の多様な自然相を農園に詰め込み自然の力を最大限に享受し、調和を保ち相互補完しながら農園を保っています。
自然本来のバランスを取り戻し、自然と共存しながら持続可能な農業を確立するために辿り着いたのがビオディナミであったといいます。つまりダニエーレ曰く、ワイン造りのためだけのビオディナミではなく、野菜、果物、牛、馬、豚、森・・全てがビオディナミで、農園の敷地全てがエコセール認定をうけるほど。
農園にはコルクの樹も自生しており、ダニエーレは自分のところで取れないのは塩とコーヒー豆だけとのこと。農園は昔から葡萄栽培に適した土地として葡萄が栽培されてきました場所ですが、中でも古くから最も条件のよい区画であるSolatio(ソラティオ=日当たりが良い場所の意味)を中心に葡萄を植樹しなおし、1999年から現在の形でワインの生産を開始しました。
ワイン造りにおいても「自然との調和」という考えは貫徹。最高の葡萄が育つ場所にだけ植樹を行い、自然の力を充分に受けた完璧な果実を、そのままワインへと変えるというもの。葡萄が完璧なので添加物の使用は一切なし。標高300m、海岸から10km弱と近く微風の絶えない微気候と、年々自然の力で強くなっていく葡萄の力と相まって農薬は完全に不必要なのです。ワインは酸化防止剤不使用にもかかわらず、還元臭、揮発酸、ブレタノのニュアンスは皆無で、葡萄本来のパワーに満ちあふれています。