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ダリオ・プリンチッチ
Dario Princic ダリオ・プリンチッチ
グラヴネル、ラディコンに学んだワイン造り
ヨスコ・グラヴネルの親友であり、スタンコ・ラディコンやラ・カステッラーダのニーコとは同級生。しかし、ダリオは異質だ。彼等が代々続くカンティーナの子供であったのに対し、ダリオはそうではなかった。実際、近隣のレストランやホテルに食材やグラヴネル、ラディコンのワインを卸す仕事をしていたのだと言う。ワイン造りへの情熱をおさえられるわけもなく、1993年から自家瓶詰めを開始。技術的なことの多くはスタンコ・ラディコンから教わりながらワイン造りに対する考えを同じくしていった。
経営する居酒屋で出すダリオ・ビアンコとロッソ
ボトリングを始めてからの10年間、ワインは全く売れず、友人であるラディコンやラ・カステッラーダ、グラヴネルが世界的にも注目を集める中、自宅1階部分で居酒屋を営みながら、量り売りで自らのワインとサラミを販売し生計を立てていた。(ビアンコ・ロッソはこの居酒屋で出されていたワイン)しかし、ダリオのワインは“特別”だった。
2004年のヴィラ・ファヴォリータにて当時、無名のダリオ・プリンチッチによる長期間マセラシオンされオレンジがかった白ワイン、ビアンコ・トレベッツ2002が人気を博した。不遇の10年間、そしてレストラン卸の仕事を通してダリオは直接飲み手と触れ合い、そのバランス感覚を自然と高めていたのであろう。イタリア国内だけでなく、国外でも爆発的な人気となり、全てのワインが毎年完売してしまうまでになってしまった。(現在では割当制)
ダリオのワインは特別だ。グラヴネルやラディコンにある『難解さ』や『気難しさ』がない。飲み手を試すような素気ない冷たい印象が全くなく、誰にでも近寄ってきてくれる『優しさ』に溢れている。華やかで豊潤に香るアタックは口中に強烈に長く留まる。しかしながら、長期間のマセラシオンによる『ワインの重さ』はあまり感じさせず、スイスイと飲み進んでしまう、ある意味での『軽さ』がある。『ワイン造りはスタンコに教わったし、スタンコと同じ気持ちでワインを造っているよ。大切なのはバランスじゃないか?』
軽やかさと旨みの両立
ダリオが言うように彼のワインは全てがバランスしている。長期間の果皮浸透によるタンニンや厚み、柔らかい酸、ポンカ由来の硬さに対して果実のフレッシュ感、濃密で詰まった甘味が高次元でつりあっている。ラディコンやグラヴネルとは全く違った方向に向かっているようで果皮浸透を施しながらもエレガントだ。ダリオにしかできない高次元でバランスされたワインと言えるのではないだろうか。勿論、畑では最大限自然に敬意を払った葡萄育成が行われている。一切の化学薬品の不使用(有機の堆肥を3年に1回程度)。
醸造も自然まかせ。温度管理はせず、天然酵母のみで発酵。温度差や薬品による安定化、フィルタリング、清澄などもせず(清澄は、ボトリング前にステンレスタンクで休ませることで十分)に、ボトリング前のごく少量の酸化防止剤(1リットルあたり20〜22mg)を添加するのみ(発酵時や、澱引き時には使用しない)。(輸入元資料より)