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エリック・ボルドレ
Eric Bordelet エリック・ボルドレ
ナチュラルシードルの第一人者
1980年代にアラン・パッサールのアルベージュのソムリエだったエリック・ボルドレ。父親の病気もあり、実家のリンゴ農園に戻ったエリックは友人ディディエ・ダグノーの助けを得ながら自らシードルを作り始めました。その頃から有機栽培ですが、2005年からはリンゴ畑では珍しいビオディナミを導入。収量は少なく、表現力のあるリンゴを育てています。
リンゴの品種は古代種を中心に、樹齢は10〜100年以上の樹も含む25種を栽培。25品種は大きく分けて「甘味」「酸味」「苦み」の3タイプ。収穫期に訪問したので食べてみると、「甘味」タイプは小振りですが蜜が多く、食用よりも甘く感じます。「酸味」タイプ。こちらはまさにリンゴ酸。直線的で鋭角な酸はとても食べられませんが、香も豊か。「苦味」タイプは果実が粉っぽく、信じられないくらいに苦い。その後1時間くらい口が痺れるほどのタンニンでした。この3タイプをバランスをとりながらアッサンブラージュすることがシードルの味わいを決めるのです。
収穫は手作業。彼等の収穫は樹から採るのではなく「落ちているリンゴを拾う」。葡萄とは違い、樹から自然に落下したものを拾って収穫します。樹は自分の子孫である果実が完璧に熟したタイミングで樹から切り離すので、完熟、果実のパワーが最高潮(完熟)に達しているのは樹から落下する時で、最も強いエネルギーを持っているのです。
彼のシードルの特徴は、複雑味とブレタノミセス(ブレタノマイセス:欠陥臭いと呼ばれる酵母由来の香り)の無い味わい。シードルにありがちなブレタノミセスを手リックは嫌います。リンゴ由来のものであれば少量であれば味わいのアクセントになりますが、多くなってしまえば欠陥を考えており、対策は完璧でブレタノミセスは全く感じられません。エリックは独自のシステム(醸造所内の撮影は禁止です)でシードルにありがちな「ブレタノミセス」を排除しており、これが彼等のシードルと他のシードルとの圧倒的な違いなのです。お陰で透き通ったような香が綺麗に鼻の奥に抜けていきます。
彼の上級キュヴェは果皮を漬け込んでおり、マセラシオンを施したワインと同様に果皮の要素を抽出することで味わいの深みを得ています。凝縮度も圧倒的で多層的な味わい。