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ファーライジング
Farr Rising ファー・ライジング
オーストラリアの中でも冷涼気候地区が数多く点在しているヴィクトリア州。その州都メルボルンの南西に位置するジーロング地区にあるバノックバーン ムーラブール ヴァレーでバイ ファーは永きに渡り名声を轟かせて来ました。設立は1999年。同地を代表するバノックバーン ワイナリーで醸造長を務めた後の独立です。ブルゴーニュのデュジャックで13年間働いた経験は彼のブルゴーニュ品種に対する知識と技術を格段に向上させた事は紛れも無い事実です。当時デュジャックのセイエス氏に師事していたラルロやルーミエといった若き才能達との交流を経てギャリーは自身のスタイルを確立していったそうですが、貪欲に自身を研磨する性格はカリフォルニアのカレラ、オレゴンのクリストムでの経験を齎しました。またフランス時ブル代にゴーニュに次いでお気に入りの土地でもあったローヌ品種への愛情は独立をする彼の背中を強く押した様です。バノックバーン時代には実現出来なかった古典的なヴィオニエやブルゴーニュ スタイルによるシラーズ(古樽による全房発酵)の醸造など革新的なワインを次々と発表。2001年にはワインメーカー オブ ジ イヤーの栄誉に輝き、その評価を盤石のものとしています。息子であるニックが作るファー ライジングからも影響を受け、今でも現在進行形でその進化を続けるバイ ファー。ギャリーの原動力はワインに対する熱い愛情とクラフトマンシップ、そしてあくなき向上心に違いありません。
ファーライジングの若きニック ファーのキャリアは、偉大なる父親バイ ファーのギャリー ファーから影響を受けた食とワインへの情熱がきっかけでした。幼少時代は実家のブドウ畑で大半の時間を過ごし、大学で醸造学を修めてからはオーストラリアで最古のワイナリーの一つであるローズマウント エステートの研究室で働きました。その後アメリカにあるクリストムとオー ボン クリマでヴィンテージを、そして家族ぐるみの友人であるセイエスと共にブルゴーニュのドメーヌュジャックにて合計4年の研鑽を積みました。父親と比較して見ると、地方の特徴を味わいに反映させたワイン作りを目指すニックはより繊細かつ複雑なアプローチを試みていると言って良いでしょう。特にデュジャックから影響を受けた部分は非常に大きく、余り除梗せずにクラシックなブルゴーニュスタイルを貫いている点はワインのキャラクターに如実に現れています。結果として息子から影響を受け返された、父ギャリーが作るワインまでもがクラシックなスタイルにより近づいています。この親子鷹が生み出すワインは甘美。オーストラリアのブルゴーニュ品種における白眉の存在なのです。