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ジェローム・ジュレ
Jerome Jouret ジェローム・ジュレ
彼が自然派ワインに興味を持ったのは、同じアルデッシュのジル・アゾーニ氏とドメーヌ・マゼルのジェラール・ウストリック氏の人柄とワインに出会ったのがきっかけだったとのこと。ジェローム・ジュレは、この2つのワイナリーの中間あたりに位置するので、出会いも自然な成り行きといえます。
もっとも彼の手がけるワインは、これら二人のスタイルとは異なります。多くのワインが瓶詰めまで亜硫酸無添加でありながら、質感や香味は非常安定しており還元的なニュアンスもあまり見られません。
出会いの発端は1989年から働いたジル・アゾーニ。香り豊かでなめらかな アゾーニのワインに強烈な印象を受けました。その後マゼルのウストリック氏と知り合いヴァン・ナチュールというものがジェロームの内部に刻み込まれました。ジル・アゾーニの後にコルナスで働いた二年間も有意義で、組合から独立して生産者元詰めをする魅力をその際に実感し、1997年に実家に戻ってワイン造りに参わりました。
自然派ワインの元詰めを目指しつつも、安定的に蔵の経営を行うためにも様々な可能性を模索します。自分の力で美味しい自然派ワインが造れるだろうかと不安を抱えつつ、2006年に組合から独立を果たし、ドメーヌ元詰めを開始します。
師事した二人の生産者もこの地の先鋭的存在ですが、ジェローム・ジュレのワインからは、その二者とは異なる透明感、慎重さ、安定感、芯の強さ、優しさが備わっています。
2年目、3年目と経験を重ねるにつれ、伝統的手法で生産されていた他のキュヴェや品種のワインも自然酵母、ノンフィルター、亜硫酸無添加で造るようになり、そのラインナップはどんどんと広がっています。どのワインもテロワールだけ見れば決して恵まれた条件ではありませんが、丁寧に丁寧に、家を建てるのと同様の素晴らしいクリエイティビティで、魅力溢れる飲み心地のよいワインを造っています。
ジェロームに個人的に好きな生産者を尋ねてみたところ、何事にも真摯な彼は、少し悩みつつ、「ラングロールかな」と。確かに、ラングロールのなめらかな果実味と飲み心地は、ジェローム・ジュレのワインに通じる美点で納得させられます。今後経験を重ねることで、より洗練されたスムーズなワインへと進化していくことが期待されます。