Joshua Cooper ジョシュア・クーパー
ヴィクトリア州、マセドン・レーンジズ。一般的に冷涼な気候を備え個性的なブティックワイナリーが集うこの地で一際輝く 若き醸造家がいます。マセドン・レーンジズの地でバイオダイナミック農法を続けてきたワイナリー「Cobaw Ridge(コバー・ リッジ)」に生まれ後継者として尽力する一方、自身のレーベルでストイックに自らのスタイルを追求しているジョシュア(ジョシュ)・クーパーです。
ジョシュア・クーパーとしてのファーストヴィンテージは2012年。最初こそ彼の親が所有する畑のブドウを使わせてもら った彼ですが、以降は(ブルゴーニュのマイクロネゴシアンのように)マセドン・レーンジズとその周辺に位置し、自然環境に 配慮した農法を実践し彼が望むクオリティに達する = 信頼できる畑のブドウを購入してワイン造りを行っています。 ジョシュが自身のレーベルで追及するのは、テロワールをしっかりと語れる高品質なブドウを用い、ごく少量の酸化防止剤以 外の添加物を用いないナチュラルなアプローチで造る、しかし上質なクラシックワインに通じる魅力を備えたワイン。世代は違いながらも、長年ワイン造りに真摯に向き合ってきた親の姿を見て育ったジョシュだからこそ表現できる新世代のファインワインと言えます。リリースから数年経ってからの抜栓をお勧め致しますが、長期熟成にも耐えうるポテンシャルを有します。
彼のワインを初めて飲んだ時はある意味でとても衝撃的でした。個性的なラベルデザインと、極少量のSO2以外の添加物を用いない醸造という前情報から勝手に想像していた味わいとは「全く異なり」、極めてエレガントかつクリーン、そしてフィネスを備えた味わいは紛れもなくグランヴァンに通じるものだったからです。
その認識は彼のことを知ればより腑に落ちていきます。ジョシュア自身は非常に若く(初VTは2012)近年注目を集めている醸造家ですが、彼の両親はマセドン・レーンジズでビオディナミを続けてきたCobaw Ridge / コバー・リッジのオーナー。今も両親と共に住み、世代が違うながらも彼らをリスペクトするジョシュアだからこそできるワインと言えます。
彼がジョシュア・クーパーの名前で出すワインはマセドン・レーンジズを中心に全て有機栽培されたブドウを信頼できる農家から購入し(ブルゴーニュのマイクロネゴシアンに近い考え方)、ボトリング前の極少量のSO2以外は何も添加せずに造られます。単一畑で、しっかりとテロワールを語り、オフ・フレーヴァーの類は一切ありません。(輸入元案内より)
ジョシュは1988年産まれ、今年で30歳(!)。アデレード大学の出で、同期にはなんとコーナーワインズのデーモン・コーナーがおり、良き友人とのこと。(デーモンもまあ若い...)
大学入学前にはポルトガルのドウロで収穫作業(Sandeman and Ferreira)を、在学中にも主に南オーストラリアのHewitsonで経験を積みます。その後も精力的に各地を見て回ります。ハンターヴァレーのTyrrell's、Heathcote Estate、ヴィクトリアのYabby Lake。ヨーロッパでもDomaine de la Vougeraie、Jean-Jaques Confuronで収穫作業を、シャブリのChateau de Beruでは畑での作業を。そして2013年Tyrrell'sで再度収穫作業をこなし、マセドン・レーンジズにて遂に自身のレーベル「ジョシュア・クーパー」の初VT(2012)を仕込みます。
その後も各地を周りつつ(シャブリ・ボージョレ・ハンターヴァレー)経験値を上乗せすると2014年活動拠点をマセドン・レーンジズに戻しHanging Rock(〜2017年末まで)で働きつつジョシュア・クーパーのリリースも続けていきます。
そして現在。ジョシュア・クーパーで使用しているブドウ畑での作業を最大限自身でも行うなど、「ジョシュア・クーパー」のワインに注力する体制が整ったとのこと。(当然ながら、彼の実家であるCobaw Ridgeでも毎年作業を手伝っており、そういった環境で育ったことが彼のワインに多大な影響を与えているのは間違いありません)
《ラベルについて》
ジョシュア・クーパーの印象的なラベルは彼の友人でもあるアーティスト、Loique Allainによる作品(裏ラベルにもしっかりクレジット)。作品は全てリノリウム版に刻まれたもので、それぞれ畑の風景がデザインされています。
それは彼が選んだ畑がそれぞれに素晴らしいテロワールを有しており、飲み手にその「土地」を感じながらワインを楽しんでもらいたいという想いから。「僕のワインを飲んだ人がラベルを見ながら、そのワインが生まれた土地へトリップするように感じてもらえたら」とのこと。
そしてワインの裏ラベルにもまず何よりも「土地」を大きく明記し、自分の名前はその後に控えめにクレジットされています。こういったところからも、彼のワインに対する考え方が伝わってくるようです。