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スケルリ
Skerlj スケルリ
オスミッツァという文化、土地のワイン造りを守るため。
マテイの静かな、そして揺るぐことのない決意。
トリエステから北西に10Km、内陸の町サレス。海までは15kmと離れていて、スロヴェニアの国境までは2〜3kmと近い。標高は260〜300m、大地のほとんどが固い岩石(石灰岩)、岩盤質でできており、表層土がほとんどない。カルソ地域はこうしたカルスト地形、石灰岩、鍾乳石などの水溶性の岩石が覆い尽くす土地。そのため、現在ある畑はすべて、上の岩石を取り除いて、海岸の町ドゥイーノから赤土を運び入れて人工的に造られたもの。降水量も少なく、冬に吹く強風「ボーラ」は風速150km、気温はマイナス8度にもなる。立っていられないほどの強風は植物の栽培にとって厳しい環境を作り出し、オリーヴなど根が深く伸びない樹は簡単に倒れてしまう。伝統的に農業よりも畜産、放牧などの産業が盛んに行われてきた地域。
サレスの町カルソ地域では、離農、人口減少、食文化の希薄化などの影響で薄れゆく文化である「オスミッツァ」を今でも続けているスケルリ家。(オスミッツァは、農家が一時的に開くオステリアのようなもの)
2006年に27歳の若さで元詰用のワイン生産を始めたマテイ・スケルリ。1haほどの代々引き継がれた高樹齢の畑と、周辺の耕作放棄されたブドウ畑を借り開墾。開墾当初のみ、微量ながら堆肥を施したが、以降は一切の肥料・堆肥不使用。最低限の銅と硫黄物のみ使用し、畑の自然環境を整え、ブドウ自体の自己管理能力を高めるよう管理。醸造は、野生酵母での発酵、温度管理はせず、SO2添加は瓶詰時に極少量のみ。
マセラシオンにより果皮の恩恵を受けたヴィトフスカ、マルヴァジアは、全くと言って良い程に「強さ」を感じさせない。カルソならではの重厚なミネラル感を持ちつつも、圧倒的なしなやかさ、親しみやすさを持つ。マテイ曰く「自分にとってのワインとは、偉大なものというより、昔から身近にあったものなんだ。自分の開墾した畑の成長とともにワインの力も増していくと思うけれど、サレスのワイン、オスミッツァの雰囲気を忘れないワインを造り続けたいと思う。」(輸入元資料より抜粋)