赤・750ml
ピノ・ノワール 100%
ニュージーランド南島の最北端の西側。スター生産者が集まる東のマールボロ地方とは対照的に、マイノリティとしてゆっくりと歩を進めて来たヒッピーなエリアです。元々ネルソンはサーファーやミュージシャン、アーティスト等が集まる⾃然回帰主義の代表的集落で、オーガニックの試みを永らく続けて来ました。自身が暮すマーティンボローからは首都ウェリントンを経たフライトで約2時間。目と鼻の先にある綺羅星の如き土壌にはアレックスが求める質の高いベリーが植えられていたのです。フルーツはマハナ ワイナリー所有のウーラストーンから収穫。マオリ語で「暖かい」を意味する海抜100mの畑故、時に凝縮感が過ぎるフルーツを味わいだけに集中して収穫時期を判断しています。
収穫地のテロワールを明確にする為に全く同じ醸造プロセスを経て生まれる彼のワイン。マニュアル収穫されたフルーツを50%の全房野生発酵にて表現する彼にとって「素直でありたい」との想いが込められている最上キュヴェとなります。初年度から日本に届けれれているボトル達は全てSO2フリー。お隣のオーストラリアが大収穫に振り回されてしまった2016であるにも関わらず、そのピタリと動かない着地は内村航平の妙技を彷彿とさせてくれます。
私にとってアントン達のワインを初めて飲んだ時の印象に少しダブって思えてしまう味わいなんですよね...漲る様な果実感と見え隠れるシリアスなタンニン。それでいていつまでも飲み飽きない様な優しさ。現在進行形で使い旧されていく樽のニュアンスは年々穏やかになっており、アレックスが見据えている将来の姿がパレットを通して伝えられている様です。
日本によく来てるから親近感があり過ぎて私でさえも感覚が鈍くなってしまっておりますが、彼の腕前がいかなるものなのかを明白にしてくれる傑作だと思います。