日本酒・720ml
チヨニシキ (ヴィナイオータ栽培米)精米60%【火入れ1回】
酒造年度 R3BY(2021BY)
ヴィナイオータがつくばの田んぼで自然栽培したお米を月の井酒造店で石川杜氏にお酒つくりをしてもらった1stヴィンテージです。
【以下、長文ですが説明文です】
ご存じの方も多いかもしれませんが、ヴィナイオータには農業部なる部署がありまして、農薬のみならず肥料も使わずに農産物を生産し、だだ商店で販売したり、だだ食堂で料理として提供したりしています。野菜に関しては、もっとやれるようになりたいと思っているのですが、お米と麦に関してはすでにそれなりの量を生産できていたりします。で、この度ヴィナイオータが栽培したお米で、オータが敬愛する石川達也杜氏が日本酒を造ってくれちゃいました!
その名もズバリ“ヴィナイオータのお米を月の井酒造店で杜氏石川達也が醸したお酒”(笑)。今回リリースするのは、令和3年度の仕込みのもので、チヨニシキという飯米品種を使用した、60%精米の生もと純米原酒になります。
石川杜氏とは、かれこれ11年くらいのお付き合いになるのですが、まさかヴィナイオータが育てたお米を石川さんが醸す日が来るだなんて感慨深いにも程がありますし、ヴィナイオータがある茨城県の蔵に石川さんが移籍したきたというのにも、運命を感じずにはいられず…。そしてこのプロジェクトの実現には蔵元の理解&承諾も必須だったわけで、快く引き受けてくださった、月の井酒造店の敬子社長と直彦専務にも感謝せずにはいられません!!
石川さんの日本酒と出合う前のオータは、個性よりも品質や流行りの味筋に重点の置かれた日本酒の世界(一般論として…)にそれほど興味が持てず、日本酒を好んで飲むことはありませんでした。←こう書くと、日本酒が嫌いなように思われちゃうかもしれませんが、そういうわけではありません!前述の“日本酒”のところを“ワイン”と書き換えたのなら、それはオータが普段からワイン界について考えていることに他ならず…。幸いワインの場合、元々とて〜も狭い世界の中で生きてきて、その中だけでも圧倒的な多様性を享受できており、そしてそのような状況にとても満足できているため、“一般的なワイン”についてあまり考えずに済んでいるだけで…。なんにせよ、ワインであれ日本酒であれ、“おいしい”よりも何よりも好奇心やエモーションなどを駆り立てるものでなければ、それほど興味を持てないという事なのかと…。
ともあれ、そんな感じで日本酒とは距離を置いていた頃、とあるお客様(Y山さん、本当にありがとうございます!)がプレゼントしてくれた1本のお酒を、ラベルに書いてある情報などをあまり気にすることなく飲み、とてつもない衝撃を受けます。それが石川さんが醸した生もとだったわけですが、色も香りも味わいも存在感ありありの濃さ&強さなのに、押しつけがましさ(アクの強さ)は皆無で、一流ミュージシャンの如くどんな演奏(お料理)にも余裕で合わせてられちゃうくらいのスマートさとしなやかさ(それを石川さんは緩衝力と呼ぶのかと!)を持ち合わせ…。圧倒的に突き抜けた個性を備えているのに、造り手が自身のエゴを押し付けた雰囲気を全く感じさせない佇まいに、ヴォドピーヴェッツやラディコン、マッサ ヴェッキアなどが重なり…。そして良くラベルを読むと、生もと(=速醸のように乳酸の添加を行なわず、天然の乳酸菌に乳酸を生成してもらう手法…ざっくりとした説明ですいません(笑))で酵母添加もしない…なんか妙に納得してしまったことを昨日のことのように思い出します。 で、そんなオータと時を同じくして、石川さんは石川さんでヴィナイオータのワインに出合い、その沼にハマり(笑)、「彼ら(=ヴィナイオータの造り手たち)は、自分と同じような事を想いながら酒を醸しているに違いない」と勝手に思い込んでくれた(笑)のですが、結果的にはまさにその通りで…。2012年に行われたナチュラルワインのイベント、ヴィーニ ジャポン広島に、オータと故スタンコ ラディコンに会うためにその日の仕込みを抜けて来場してくださり、初対面を果たしたのですが、石川さんはその時の印象を「初対面から、LikeではなくLove…そんな感じですかねぇ。」と表現していたっけ(笑)。
話を今回のお酒に戻します。如何せん日本酒に関してはそれほどの経験がないため、お味に関してなんと表現してよいのか分からないのですが、なんにしてもステキに美味しいです(笑)。そして身体への浸み込み具合(馴染み方?)も半端ではありません!!あくまでも参考程度にしていただきたいのですが、スペック的には、アルコール度数:20%、日本酒度:+20、酸度:2.2、アミノ酸度:2.9、と全ての数値が普通に振り切りまくっている安定の石川クオリティ(笑)。
仕込んでもらった全量を買い取らせていただき、よおおおしヴィナイオータで売るぞおおと意気込んでいたのですが、日本酒を含む“全酒類”を卸売りするための免許の取得がこれほどまでにハードルが高いとは、酒販免許を取得して早25年経ちますが、お恥ずかしながら今の今まで知りませんでした…。聞けば、全酒類卸売業免許の交付は年11回の抽選制であり、抽選以前に都道府県によってはその年に11つの枠さえ用意されないことがあること、そして申請時に書き込まなければならない“販売見込数量”がそれなりの量で小規模参入が許されない状況との事…。とどのつまり、全酒類卸売業免許の取得は基本不可能だったという事になり…。希望や明るい未来を全く感じない無駄に保守的&閉塞的なシステムに、ほとほと呆れ返ってしまいました。
日本酒に関してだと、卸売りではなく製造側の面でも、60年以上も日本酒製造免許の新規交付が行われていないという超保守的な現状も、百害あって一利なしな気がしてしまうのはオータだけなのでしょうか?消費が減っていることをそんなに危惧するのならば、それを打開しようとする意欲とアイデアを持ち合わせている人が新規参入しやすい状況を整えてあげた方が良い気がするのですが…。特区制度が導入されたワインやどぶろくなどは、とても盛り上がっているわけですし…。
というわけで、ヴィナイオータとして卸売りができない事になってしまったので、今回のお酒は、だだ商店で小売販売させていただくことにしました。日本酒の価格のシステムに関しても色々思うところがあり、そのあたりの事も本当は書きたいのですが、それは堂々と卸売りができるようになった機会に…。令和4年度には、なんと2仕込みをしていただいちゃってまして、トータルで令和3年度の倍以上の量が…(汗)。それらのお酒がリリースされる頃までには、解決策を用意できればと考えておりますので、今しばしお時間をください!(輸入元資料より)