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アントニオーロ
Antoniolo アントニオーロ
ピエモンテの北西部、アオスタの程近くに位置するガッティナーラの丘。ピエモンテのネッビオーロと言えば、バローロとバルバレスコが真っ先に浮かびますが、50年以上前にはガッティナーラのワインはバローロと同格かそれ以上の地位と名声を得ていました。この地ではネッビオーロはスパンナと言う名前で呼ばれ、ランゲよりも北に位置し冷涼な気候と、アルプスに由来する土壌で花崗岩が主体のため、ワインはより豊かな酸とミネラルに富むものになり、ランゲ地区のがっちりとした酒質とは違う繊細なタイプに仕上がります。
かつて栄えある名声を得ていたガッティナーラですが、第二次大戦以降、農村の人材は都市部に流出し畑も減少してしまい、衰退の一途をたどっていますが、極僅かですがかつての名声を守り続ける優れた作り手も居ます。
かのマット・クレイマー氏も”一握りだけの優れた造り手が作ったガッティナーラはじつに見事なワインである。(中略)断然優れているのはアントニオーロで、ガッティナーラの真骨頂が見られる”と絶賛しています。
9アントニオーロは1948年にマリオ・アントニオロによって設立され、以降ガッティナーラ全体の品質を上げるという目標の元、畑を広げることなく質の向上に努力してきました。 畑はガッティナーラの丘の南面に12haを所有し、この地域を代表する単一畑を3つ所有しています。(レ・カステッレ:1.5ha、オッソ・サン・グラート:5.5ha、サン・フランチェスコ:3.5haを所有)現在ではロザンナと娘のロレッラ、息子のアルベルトと共にコンサルタントとしてアッティリオ・パーリ氏を起用して品質の向上に努めています。
醸造に関しては14〜16日と長めのマセラシオンを行い、未だにセメントタンクで醗酵。熟成は畑ごとに樽の使用比率を変えており、サン・フランチェスコは350〜500Lのトノーで12ヶ月、その後大樽に移して18ヶ月の熟成。
一時期不調に喘いだアントニオーロですが、大復活をとげて往年の厳格ながらなめらかな質感を取り戻してきました。素直にネッビオーロらしさを感じさせてくれる旨味のある酸とシルキーな口当たり。この地域にしかない綺麗で繊細な味わいながら、余韻にはしっかりとした満足感を残してくれます。この余韻の複雑味は彼等の持つ長い歴史、高い樹齢に由来しています。