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ポデーレ・レ・ボンチエ
Podere Le Boncie ポデーレ・レ・ボンチエ
ポデーレ・レ・ボンチエはキアンティの著名ワイナリーのフェルシナなどでも知られるカステルヌーヴォ・ベラルデンガにわずか3haの自社畑を所有する極めて小さな生産者です。
この知的でバランス感覚に優れた女性は、近代醸造学を学び、大手ワイナリーでキャリアを積みながらも、自然な栽培、醸造に帰依するという珍しい経緯の持ち主。
畑は勿論有機栽培で、ありえない程の超低収量で収穫されたサンジョヴェーゼを100%除梗し、小型の開放式木製発酵槽で仕込みます。(小柄なジョヴァンナ女史がピシャージュしやすいように特注の小型発酵槽を用いています。)そして天然酵母を用いた発酵、500〜700Lのトノーで14ヶ月熟成後、無濾過で瓶詰めされます。瓶詰め時のSo2添加は極限まで僅か。まさに完全なる自然派の哲学でワインは作られています。
また、ジョヴァンナ女史は当店の当店でも人気のパーチナなどの自然派生産者とグループを形成し、彼等の醸造コンサルタントも勤めています。
モダンさと素朴さが見事に調和し、背筋が1本通った“品格”のある味わいです。この“品格”は一握りの偉大なワインだけがもちうるものではないでしょうか?堅苦しくなく温かみを感じさせるのは彼女の人柄によるところでしょう。無名ながらも偉大なるワインはこんなところにあった!
レ・ボンチエはキャンティ クラッシコ地区の南端、カステルヌオーヴォ・ベラルデンガの標高360mに位置するワイナリーで、ジョヴァンナ・モルガンティによって営まれている。粘土質石灰土壌の3ヘクタールの畑では自然農法を実践するだけでなく、施肥を行なわず、マメ科の植物などを緑肥として蒔き、それらが自然に堆肥化したものを利用している。ブドウ樹はこの地方では珍しい低めのアルベレッロ仕立てで、ヘクタールあたり7400本という高密度植樹にて栽培。収穫は全て手作業で行なわれ、ブドウには細心の注意を払い小型の箱に入れられワイナリーまで運ばれる。その後彼女の小さな身体でも手で直接ピジャージュ※(醗酵途中の攪拌)できるようにしつらえた、小型の開放式木製の発酵槽で野生酵母によるアルコール発酵を行なわせ、500-1500リットルとさまざまな容量の樽へと移し替えられる。そして約15ヶ月の熟成の後、若干量の2酸化硫黄を添加しノンフィルターでボトリング。年生産12000本。
赤ワインの醸造では、果汁に果皮と種を漬け込み醗酵させた後、果皮と種を取り除きさらに醗酵させるのが一般的です。最初の醗酵が始まるとともに2酸化炭素のガスが発生して、果皮(果肉)や種は液面に持ち上げられ果帽(カッペッロ:伊 マール:仏 キャップ:英)と呼ばれる分厚い蓋状の層となります。この果帽はぴったりと液面を覆ってしまうことから酸素の循環が滞り、微生物汚染や醗酵不良、色素やタンニンの溶出不足の原因となってしまいます。それらを防ぐために、果帽の表面が乾燥しないように常に果汁に触れさせ、果汁全体に酸素を十分に与え酵母の働きを助ける作業(キャップ マネージメント)が必要となるのです。
その作業の1つであるピジャージュは、人間の足や櫂棒を使って果帽を果汁中に押し込む方法です。ワイン醸造に機械が導入される以前から行なわれてきたもので、主に木製の開放醗酵槽で醗酵を行なう造り手が用いています。伝統的スタイルである開放状態での醗酵は、イタリアでも行なわれることが少なくなりましたが、果汁を密閉しないことで必要となる野生酵母や酸素が常に供給されるもっともシンプルな方法で、醗酵が早いタイミングから始まり、温度管理しなくとも醗酵温度が全体的に低くなることも特徴です。しかしその一方で、醗酵中にショウジョウバエなどが果汁に飛び込み微生物汚染の危険性を高めてしまうことにもなるのですが、ジョヴァンナは布カバーを自作してこれをガードしています(写真)。また果帽に直接人間の足や櫂棒をぶつける方法のため、粗めのタンニンのワインとなるともいわれますが、醗酵がゆっくりと行なわれるために自然にロングマセレーションとなり、アロマを失うことなく多くのエキスやタンニンが抽出されるのです。
きな容量の醗酵槽では果帽の量が多くなり、人間の力で突き崩すのが難しくなることからその場合にはルモンタージュ(ポンピングオーバー)を用いることが今まで一般的でしたが、大型のステンレスタンクに設置できる自動ピジャージュ装置もすでに実用化されているようです。逆に手作業の場合には押し込むことにかなりの力が必要で、発生する炭酸ガスで酸欠状態になって意識を失ってしまうこともあり、危険を伴う大変な作業だといえます。身体も小さく力も弱いジョヴァンナは大きな開放醗酵槽でのピジャージュは無理だと考え、自分用の小型の木製醗酵槽を特注したそうです。(輸入元資料より)