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カンティーナ・イル・ヴィンコ
Cantina Il Vinco カンティーナ・イル・ヴィンコ
ラツィオ州北西部のマルǿ(畑はマルタやポディモンテに)。火山活動でできたカルデラのボルǻーナ湖に面する。この湖は、ヨーロッパの中では最高に澄んだ湖とも評されています。この地域で有名な造り手と言えば、レ・コステやアンドレア・オッキピンティなどがあげられるのかもしれません。
ル・ヴィンコを率いるのは、ニコラ、ダニエーレ、マルコの3人。このプロジェクトを始めた理由は心底ワインが好きだからということ一言に尽きるとのこと。この3人が飲み明かしている時に酔っ払った勢い(ノリ)で始めることになったそうです。
ここでは、古くから小規模農家によって葡萄栽培が盛んに行われていました。しかしながら、多くの地域同様、ここでも農家の高齢化に伴い農家が栽培を断念してしまう状況にありました。そこで、この土地に魅せられた彼らが葡萄栽培を決意。彼らが大切にするモットーは土地と自然の絆(つながり)。先人から守られた地品種、主にカナイオーロ・ネーロ、(地元ではカナイオーラと呼ばれる)やアレアーティコを残していかなければならない。そこに自分たちの世界観も反映できるような醸造を目指す。そして、できる限り昔ながらの手法を尊重して始めたのです(初ヴィンテージは2015)。
彼らはこの地の栽培・醸造の先輩でもある上記アンドレア・オッキピンティのǵポートを受けながら、僅か2ヘクタールの畑(自社全体所有25haのうち)と僅かなレンタル畑(5.2ha)で栽培に従事しています。古い畑には接木をした葡萄、新たな畑(賃借)はピエ・ディ・フランコ。今では新しいカンティーナも建設中で、その真横に位置する畑ではグレケットを植樹している。現状は狭い場所で醸造するため、カナイオーロ・ネーロのみを醸造し、アレアーティコは友人でもあるアンドレア・オッキピンティに譲っている。
ほぼ全ての樹はコルドーネ仕立てで、新しく植樹した樹は伝統的なドッピオ・カポヴォルト(低い幹先端の枝を左右に曲げている)によって適度に日差しを浴びるようにしている。
当然のことながら理想とするワインを持続的に仕込むためには、あらゆる面で丁寧な仕事が必要とされると理解していた彼ら。そのために何が必要かもの研究にも余念がなく、2016 年には近くのトゥーǷャ農業大学と共同でボルセーナ湖由来の火山性ゼオライト(ミネラル質)を畑に使用することにしました。この結果がどのようなものかはまだ未知数ではあるものの、これにより排水性がより向上し、土壌負荷となってしまう硫黄や銅(ボルドー液)をさらに減少させることができると考えています。こうしたアプローチ同様に、醸造プロセスにおいても酵母添加や温度管理をせず、酸化防止剤も僅か数ミリグラム/L に抑え、葡萄本来のエネルギーを具現化するためノンフィルターでボトリング。
ここ数年先にはピエ・ディ・フランコのみでのカナイオーロ・ネーロが醸造されることでしょう。(輸入元資料より)