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ジャック・ラセーニュ
Jacques Lassaigne ジャック・ラセーニュ
ジャック・ラセーニュはエペルネの南に約80kmのところにあるトロワイエ 近くのモングー村に畑をもつ家族経営の小さな造り手です。1964年に父ジャックによって設立され、現在は息子であるエマニュエル・ラセーニュが蔵を取りしきっています。
蔵の大きな特徴は、かの銘醸地「コート・デ・ブラン」と同じシャルドネに適した白亜質の土壌です。この白亜質土壌はコート・デ・ブランから南側で一旦地中深く沈み込んでしまい、このモングー村周辺で再度地上に現れます。まるで離れ小島のように現れた土壌から、村全体で186haある畑の85%はシャルドネが植えられており、第2のコート・デ・ブランと呼ばれています。
チョークのような白亜質の土壌の区画ゆえに、きりっとしたミネラル感としまりのあるスタイリッシュなラインの味わいに仕上がります。コート・デ・ブランとの違いは、より南に位置する点と、コート・デ・ブランは東向きの斜面なのに対し、モングーは南東向きという日照に優れた環境のおかげで、葡萄の糖度を高め、ボリューム感を与えています。
エマニュエルらが中心になって作り始めたのは1999年から。彼は小さな時から葡萄畑が遊び場だったくらいワインにべったりで、父の背中を見て育ったためか。最終的には醸造家になるのが天職と考えるようになりました。実は大学時代に4か月東京に滞在したことがあるほどの親日家でもあります。
醸造においては葡萄に由来するデリケートな芳香成分を失わないように、次の点に注意しています。
1. 醸造・熟成中はポンプを極力使わない作業。
2. 亜硫酸を極力使わない醸造。
一般的なシャンパン造りでは醸造中のいろいろな過程で亜硫酸を加えますが、そのせいで葡萄本来の香りを無くしてしまいます。この蔵では「門出のリキュール」のときにも添加しないなど、極力使用を抑えたシャンパン造りを行っています。
3. 原酒造りはノンコラージュ、ノンフィルター
4. 原酒のブレンディングについては、収穫年のワインを主体(60〜70%)にして、前年のリザーヴワインを30〜40%ブレンドします。彼のシャンパンはワインと同じようにその年の個性と特徴を表現したいという考えに基づいています。5〜6年といった何年にもわたるリザーヴワインのブレンディングはしません。その分、瓶内熟成をしっかりさせて、品種とテロワールが溶け合った複雑さを表現しています。だから何より「完全な状態に熟した葡萄」を得ることに力を注いでいます。
5. 細かな泡立ちの秘密。瓶内醗酵時の温度を、一般の蔵より約2℃下げた地下カーヴ(9〜10℃)でゆっくりと行うことによって、細かく溶け込んだ泡が出来上がります。
6. モングー村の「石灰質土壌のポテンシャル」を広めようと、毎年ヴィンテージシャンパンをつくって熟成の経過を研究してします。
日本ではまだまだ知名度の低い造り手ですが、熱烈な自然派ファンのお客様にはここのシャンパンの素晴らしさは知れ渡っており、静かな人気を博しています。