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メゾン・ブリュレ
Les Maisons Brulees メゾン・ブリュレ
2013年9月。ロワールの偉大なビオディナミスト、ミシェル・オジェの引退はこのドメーヌの新たな門出となりました。そしてこのドメーヌ・メゾン・ブリュレを新たに引き継いだのはアルザス出身のポール・ジレという男。彼は元々アルザスでカヴィストとして働いていました。また2011年まではアルゼンチンでレストランの経営者を行っていましたが、ヴィニュロンになる夢を捨てきれず、フランスに戻り醸造学校に通いながらアルザスのブルノ・シュレールの元で働きました。その後トゥーレーヌを訪れた際にその土地に魅了され、ミシェルと出会い彼の元で数年間の経験を積むこととなります。その時の真摯な姿がミシェルに自身のドメーヌを継承させることを決意させます。 ミシェルから受け継いだメゾン・ブリュレの伝統は守りながら、新しいスタイルを加え進化させ、ラベルも魅力的なものに変更しています。ミシェルが醸造していたエネルギーに満ち溢れたあの液体に、優しさを付け加えたような素晴らしい味わいのワインが生まれました。(輸入元資料より)
私も個人的にとても好きな造り手であり、自然派ファンの間でも根強い人気のメゾン・ブリュレを改めてご紹介いたします。某専門誌のテイスティングレビューなんぞも久々に書いたことですし・・・。
つらつらと蔵元の案内を入力しつつ、ふと当社の系列フレンチであったmaru:niの石田さんこと石ちゃんがミッシェルにお世話になったって言ってたなと思い出し、「二言三言でいいからミッシェルの人となりを教えてねー」とお願いしたところ、想いがたっっぷり詰まったテキストの返信が帰ってきたので、私の作りかけの案内をポイしてこちらの文章に差し替えました。長文をだいぶ編集しましたのでお付き合い下さいね。※ちなみに、石ちゃんは現在東京で頑張ってます!!
(以下、元スタッフ石ちゃんのコメントより)
右も左も分からない中、不安と緊張の連続でボワルカでスタジエ(研修生)を勤める毎日。1ヶ月以上も経ってから私が働く畑から徒歩三分の距離にミッシェルの畑があることに気づきました。
初めて行った畑、初めて会うミッシェル。雑誌でしか見たことのない彼に「うわあ、ミッシェル・オジェ!!」と反応した私。照れくさそうに「まるでマイケルジャクソンにでも会ったみたいな反応だな」という彼の一言に周りのフランス人も和やかな雰囲気になったのが印象的でした。
厳格そうな一面と温かく落ち着いた雰囲気を合わせ持つミッシェルは、ロワールのヴィニュロンの中でも良い意味で異色の存在だと思います。フランスという国、ロワールという土地を愛しながらも、日本や私たち日本人の国民性を受けいれ、よその人がワインを造る事を尊重し、互いの文化を敬う。ロワールの片田舎でその土地に馴染みながらも物事をグローバルに考える人。本当に本当に素敵なヴィニュロンです。
彼の醸造所には日本の雑誌に取り上げられた2ページの紙面が貼ってあるのですが、「これに何て書いてあるの?」と聞かれ、「ラルービーズルロワがビオディナミを師事した人物だって」という私たちの通訳に対して「でも、良く知らないよ、ルロワは・・・」と笑顔で答えるような人。謙遜か真実か分かりませんが、本当に謙虚な人なんです。加えて奥様のベアトリス。大変聡明な女性でミッシェルを支える素敵な人。薬草や整体に詳しく、昨年私が腕の調子を崩した時もこういうマッサージが効果的と色々教えてくれる温かい人。二人にはフランス滞在中に本当にお世話になりました。
昼下がりにパラソルの下で「何が飲みたい?」と次から次へとワインを開けてくれたこと・・・、畑で遠くからでも 私が元気かどうか気にして見に来てくれたこと・・・、日本に帰るとき朝早くに駅まで見送りをしてくれたこと・・・、何度も二人の経営する小さなホテルに遊びに行ったこと・・・、私にとって本当に大切な思い出です。
私がフランスやそこのワインを大好きな大きな理由はミッシェルとベアトリスという尊敬できる人に出会ったから。心が自然で自由であることの大切さ、そうあるための優しさや知識の土台。それを体現するかのような二人に出会えたことに感謝しています。この感謝の気持ちを私のフランス語力で表現するのは難しいかも知れないけれど、プライベートでも心の支えとなってくれたこの二人の素晴らしいワインをこれから出会う人たちに勧めていきたい。そのことが彼らへの私なりの感謝の表現。
私の「美味しいワインってどんなワイン?」という質問に迷うことなく、「葡萄の味と、土を感じるワインだよ」と話すそんな二人の作るワインは見事なまでに土を感じ、葡萄の味がし、まさしく果実そのものです。エルドローを初めて飲む人はエネルギーの塊のそのワインをきっと強く感じられる ことでしょう。けれど、数年の熟成を経てのすごく優しい味わいに変わっていくワインです。ミッシェルが造りたいワインは特別のワインではなく、今日も明日も飲めて、一日の疲れを、体を癒す、そんなワインなんです。私が大好きなそんな二人のワイン。一人でも多くのお客様に楽しんで貰えることを心から願っています。(※ミシェル・オジェは2013年9月に引退)
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