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ヌリア・レノム
Nuria Renom ヌリア・レノム
その食べられてしまいそうなくらいの大きな口で豪快に笑う声、天真爛漫で愛情溢れるサービス、バル・ブルタルを覆い尽くすほどの彼女の存在感。ソムリエとして活躍するヌリアにバル・ブルタルで出会った時の印象はこうでした。畑で、畑横の小さな家で自然に囲まれ、動物たちと暮らす彼女の心の静寂、落ち着き。そのギャップに触れた時、彼女の本質に少し近づけた気がしました。
父をカタルーニャ人、母をアルゼンチン人に持つヌリア。アルゼンチン生まれのヌリアは11歳の時に父の生まれ故郷ガラフに移り住みます。バルセロナから海沿いを車でほんの30 分下っただけなのに豊かな自然が残り、自然公園に指定されているガラフ。自身のルーツと言えるこの地で、ワインを造る夢を時間をかけて育んできた彼女。自然を愛するヌリアは、獣医の勉強をしたり、イタリアで自然な暮らしをしたりするなかでワインにはまる。イタリアから戻ったヌリアはソムリエ、醸造・栽培の勉強をし、バルセロナのレストランでソムリエとして活躍する傍ら、カリフォルニアやニュージーランド、フランス(ディディエ・ダグノーなど)など様々な造り手のもとで研鑽を積みます。彼女らしく自然派へと傾倒していくヌリア、彼女の才能を高く評価する人から依頼され、ソムリエの講師も務め、そしてバルセロナの自然派の聖地バル・ブルタルでオープン当初の2014 年からソムリエ責任者として活躍。
満を持して2015 年、ワイン造りの道へ。ヌリアの暮らす家に続く秘密の道のような、観光客が入ることもなくひっそりと佇み守られているガラフ自然公園の中。自身のルーツを求めて、ガラフを歩き、昔からの知り合いの地主の家の一角を借り、そこで生活し始めた。
DOペネデスの中に属しながら、他のペネデスとは全く異なる真っ白な石灰の痩せた土壌なのがガラフ。畑を購入したり、ワイナリーを建てる資金はまだなく、できるところから。小さな畑を借り、もともとあったメルロを栽培したり、シラーをチャレッロに接ぎ木したり、化学農薬は一切使わず、ハーブなどの植物を煎じて散布したり、畝の植物も刈ったり、引っこ抜いたりせず、折り倒すことで、生物多様性を豊かにし、乾燥したこの地で適度な湿度も保つ。ガラフの土地を自然に、純粋に表現すること、そのためにはこの地に自生する、本来自生してきた植物や生物の声を聞くこと、それが一番大事と考えるヌリアは、文字どおり、自然と共に生きている。
彼女が動物や植物に話しかける時、人間と接するのと同様の愛に溢れた温かい心で接する時、動物や植物がとてもリラックスしてとても自然にヌリアに素直な表情を見せる(見せたような気がする)、そんな場面に何度も出会いまし た。雨が少ない年ならブドウだけじゃなく動物だって植物だって同じ状況。ブドウだけを守ることは人間の勝手。ブドウを求めに来るイノシシや鳥も追い出すことなく、共生を貫く。そしてブドウの声も聞く。小さな醸造所を持ち、すべてのブドウを自分の畑で栽培できることを理想に、今は小さな畑と、信頼のおけるブドウ栽培農家やナチュールの造り手からの購入ブドウで、マカベオ主体やメルロ主体でテンションがあり、ミネラル豊かなペットナットやスティルを2015 から極少量造り始めています。動物的な感性を持つヌリアのこれからに目が離せません!(輸入元案内より)