Jerome Saurigny ジェローム・ソリニー
フランス ロワール地方アンジュ地区の造り手。日本ではまだまだ無名というか新人のカテゴリに入るかもしれませんが、フランスでは若手ながらも着実な人気のある造り手として定着しています。
実は、ジェローム ソリニーとの初めての出会いは多くの著名な造り手の集まる試飲会、ルネッサンス・デ・アペラシオンやディーヴ・ブティーユと時を同じくして開催されていたレザノニームという試飲会に出展していました。このレザノニームは、自然派という枠組みで語られる生産者の中でも若手中心のメンバーが出展しており、また醸造的にも純粋主義というか攻めた造りの生産者が多いのも特徴です。
この純粋主義的なムーブメントは、若手生産者の間で盛り上がりを見せているのですが、その反面、基礎的な安定感に欠けるワインも散見されるようになりました。私たちとしても生産者の想いや哲学を尊重することは大切にしているのですが、一方で純粋主義にこだわるあまり、飲み手の方々にとっての喜びにつながらないワインとなるのは本末転倒かなと思い、新規生産者との取引にあたっては慎重に検討を重ねてきました。
今回ご紹介するジェローム・ソリニーに関しても、試飲会での試飲やパリのワインショップやビストロなどでも何度か試し、色々逡巡を重ねながら、最終的に縁あって今回取引を始めることとなりました。取引開始までに時間がかかった理由は、現地で飲む彼のワインの魅力がそのまま日本に届ける事ができるかに関して悩んでいたというのが率直な理由です。
攻めた造りの自然派ワインの中には、現地で飲むと魅力的だけれども日本に届くと不安定というワインが存在します。ソリニーのワインに限らず、多くの種類のワインを現地フランスと日本で飲み比べた経験から、彼のワインに関して判断がつかないと感じていました。
これを確信する為にはワインの表情だけで判断することはできないと今年の冬に彼の醸造所を訪ねました。不安と期待の入り交じる中、いくつかのワインを試飲し、彼の考え方、仕事のあり方に触れるなかで、ある種のリスクを負ってでも日本のお客様にお届けするべき魅力を備えたワインであると確信し、取引をお願いしました。
日本に到着した各種ワインたちですが、幾分の固さはあるものの懸念していた極端な不安定さやネガティブな風味はなく、時間の経過とともに船旅の疲れが癒やされてバランスのとれた魅力溢れるワインへと成長していくように感じられます。
「ドメーヌ・ソリニー 概略」
2005年にアンジュ地区を中心に12haの畑を取得しワイン生産者となりました。その後、目の行き届いた丁寧な栽培にこだわるため、最もポテンシャルの高い区画6.5haを残して残りは売却。除草剤や化学肥料を用いない自然な栽培、自然酵母による発酵や熟成・瓶詰め時の酸化防止剤の不使用など自然な醸造に徹底的にこだわり、親交の深い元グリオットのパトリック デプラやセバスチャン デルヴュー、ジャン クリストフ ガルニエなどとともにブドウそのもののポテンシャルだけで素晴らしいワインを生み出そうと日夜努力を重ねています。(輸入元資料より)
ロワール地方アンジュ地区、フェルム ド サンソニエールのマルク アンジェリやルネ モスにはじまり、現在はそれぞれ独立したドメーヌを運営するセバスチャン デルヴューとパトリック デプラの2人によって運営されたドメーヌ デ グリオット、さらには、彼ら先達たちの影響を受けたシリル ル モワン、ジャン=クリストフ ガルニエ、ジャン=フランソワ シェネなどフランスの自然派ワインを代表する造り手が多く活躍する地域です。この自然派ワインのホットスポットである地域で、2005年からワイン造りを始め、年々進化を重ねてスターダムに登ってきたのがジェローム ソリニーその人です。
もともとボルドーの醸造学校でワイン造りを学んでいたジェローム ソリニーでしたが、そこでは彼の望むピュアなワイン造りを学ぶことは不可能であっただけでなく、あまりに多用される醸造テクニックと添加物に不安を覚えたと言います。その後、ドメーヌ デ グリオットのワインと出会ったのをきっかけに、彼らの自然でピュアなワイン造りに感銘を受けたジェローム ソリニーは、ドメーヌ デ グリオットにほど近い場所に12haほどの畑を見つけ、自身のワイン造りをスタートさせます。
取得した12haの畑は、目の行き届いた丁寧な栽培のために最もポテンシャルの高い6.5haのみを残して売却し、除草剤や化学肥料などを用いない自然な栽培を通じて健全なブドウを得ることに集中しています。醸造においては過度な人為的な介入を避け、自然酵母による発酵を行い、リスクが高いデザートワインであっても瓶詰め時の亜硫酸不使用を貫くなど、純粋主義的なワイン造りを徹底しています。 2015年現在で、10年にわたるワイン造りのキャリアを重ねてきたジェローム ソリニーですが、彼のワインはパリの多くのワインショップやビストロなどでも広く愛されています。その理由としては、気負わず楽しめるワインの味わいもありますが、ジェジェという愛称で友人・知人に愛される彼自身の人柄も大きいと感じます。彼の下を訪問すると、いつも沢山の友人に囲まれている彼の姿を目にします。人懐っこく、明るい性格のジェローム ソリニー。その笑顔に惹かれて多くの人が集い、ワインを通じて幸せな時間を共有しています。
その一方で、ワイン造りに取組む姿勢は非常にストイックと言えます。亜硫酸の使用を嫌い、とことんピュアな自然派ワイン造りを追求し、一切の妥協を廃した攻めの姿勢。その半面として以前のヴィンテージにはやや不安定な一面もありましたが、ここ数年、ぐっとワインに安定感が出てきました。彼は定期的にワインの名称を変更するのですが、その理由として自身の考え方の変化や哲学の進化をあげます。常に最善を目指して考え方を更新していくことによって、絶え間ない品質の向上を目指し、結果として数年おきに目を見張る進化を遂げて、ひとつ、またひとつとステージを登り続けています。スター生産者が集まるアンジュ地区にあっても他の生産者に活躍に埋もれることなく頭角を現し続けるジェローム ソリニー。彼の成長の軌跡を楽しみに追いかけて行きたいと思います。(輸入元資料より)