トップ > フランス > ロワール > アンジュ & ソミュール #2 > マイ・エ・ケンジ・ホジソン
マイ・エ・ケンジ・ホジソン
Mai et Kenji Hodgson マイ・エ・ケンジ・ホジソン
ロワール地方の西、古城の街アンジェから南へ20kmほど下ると、レイヨン川に沿ってうねる丘陵が霞を伴い幻想的な光景を作り出す。レイヨン川を横ぎり、さらに5kmほど南下するとシャン・シュール・レイヨン村が見えてくる(現在は、5つの村が合併しベルヴィーニュ・アン・レイヨン村となる)。ホジソンのドメーヌはその村の外れ、まわりが畑に囲まれた場所にひっそりと佇む。現在4haあるブドウ畑は、赤白各2haがベルヴィーニュ・アン・レイヨンのコミューン内に小さく区画ごとに点在している。1年を通して寒暖差の少ない西岸海洋性気候や強い北風が霜や病気からブドウを守る。さらに、この地域はレイヨン川の影響を受けやすく、晩夏から秋にかけて川から立ち上る霧によってボトリティスが発生しやすい。
オーナーのケンジ・ホジソンはカナダ国籍で、2009年に日本人の妻のマイと一緒にワインづくりを学ぶためにフランスへと旅立った。その以前、カナダにいた当時は、ケンジは2002年からワインジャーナリストとして、地元の新聞のコラムに記事を掲載したり、ワインガイドを作成したり、試飲会を開催したりしながらワインの普及に努めていた。だが、新聞で毎週ワインのコメントを書いたりする一方、彼自身が実際のワイン造りを完全に把握していないという葛藤を常に抱えていた。2005年、探求心の強いケンジは、ワインを学ぶために、単身で日本のココファームに入る。ココファームでは、毎回ブラインドテイスティングの勉強があり、彼はそこで初めてヴァンナチュールに接する。研修は 6 か月間だったが、彼にとっては、ワインづくりの経験はもちろん、それ以上にテイスティングの能力を磨く格好の学び場となった。2006年、再びカナダに戻ったケンジは、今度はブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン地方のワイナリーで2009年まで3年間働く。この時、彼は醸造責任者を任されていたが、ナチュラルとは程遠いワイン造りに疑問を感じていたこともあり、自分たちの好きなフランスワインを間近で学ぶため、2009年に妻のマイと一緒にフランスへ旅立つことを決意する。ワーキングホリデーでフランスに入った二人は、マルク・アンジェリのラ・フェルム・デ・ラ・サンソニエールの収穫に参加する。当初はワーキングホリデーのビザが切れる5月にカナダに帰り、ワイナリーを開くことを考えていたが、マルク・アンジェリの勧めもあって、最終的にロワールに残ることを決意し、2010年4月ベルヴィーニュ・アン・レイヨンに1haの畑を所有しドメーヌをスタートする。
オーナーのケンジは、カナダ人だが、母親が日系カナダ人であることと、以前に日本に滞在した経験もあり、英語・フランス語以外に日本語もうまく話すことができる。また、マイもケンジと知り合う前からカナダに留学していたこともあり、英語はネイティブ並みに流暢で、2 人の普段の会話は基本的に英語が中心である。現在、彼らは4haの畑を2人で管理している。(繁忙期は季節労働者が手伝う)。彼の所有するブドウ品種は、シュナンブラン、カベルネフラン、グロロー、ガメイで、樹齢の平均は40年。彼らのモットーは「テロワール、品種、ミレジム、人」をリスペクトすること。目指すものは、醸造テクニックからくる味わいを極力排除したワイン。つまり、ブドウのピュアな味わいそのものを表現したワインだ。ブドウの持つポテンシャルを信じ、最高のブドウを作り上げるために畑の仕事は惜しまない。
|