Il Paradiso di Manfredi イル・パラディーソ・ディ・マンフレディ
モンタルチーノの街から北東に抜けたVia Canalicchio沿いにイル・パラディーゾ・ディ・マンフレディはある。 元々ブルネロの中心地は北東斜面であり、パラディゾはこの北東斜面に僅か2.5ヘクタールの畑を持っていて、家族5人で年産750ケース、本数にして9,000本という極少量生産を続けている現在では珍しい農家的ワイナリー。
現在の当主で元数学教師のフローリオ氏は言う。『ブルネロの本来の姿は北側斜面にあり、その個性は南側と全く違うものです。』このカンティーナは1950年頃、先代がイル・パラディーゾ(サノ注:パラディーゾとはイタリア語で天国という意味)と呼ばれる畑を購入し、1967年にBaricci等数軒の造り手と共にブルネロ・ディ・モンタルチーノ協会を設立したことに始まっている。以来、畑は薬剤などを一切排除した自然農法が実践され、醸造に関してもモンタルチーノの伝統に則り、流行にぶれることなく本来のブルネロを造り続けてきた。義父から引き継いだフローリオも義父の意思を引き継ぎ、自然農法を実践している。『今でこそ理解してもらえるが、当時は自然農法なんて変人扱いされたものです。』
畑には色々なハーブが自生し、害虫対策にはその害虫の天敵である益虫を畑に放つことで対応する。除草剤も防虫剤も使われていない。葡萄樹を支える支柱さえも木製。本当に信じられない位自然と共存している葡萄がここにはある。葡萄樹は平均28年。栽培に関しても、醸造に関しても自然に任せた彼等のワインはモンタルチーノの風景のように丸く、おおらかで優しい印象。その奥に繊細ながら深みを感じさせてくれる。これがサンジョヴェーゼ・グロッソの本来の姿なのかもしれない。改めてブルネロ・ディ・モンタルチーノの偉大さを教えてくれるようです。
『私達のワインは毎年違った個性を持っています。何故ならその年の気温変化、葡萄の育成、発酵に至るまでの自然を表現することがワイン造りだからです。』
収穫は区画ごとに完熟を待って行う。モスト計などで熟度を見るのではなく、フローリオ氏が葡萄を食べて収穫時期を決定していて2007年に関しては列ごとに収穫をしたと言う。 醗酵は伝統的に20〜50hlのセメントタンクで収穫した区画ごとに行う。 時折、セメントタンクに手をあて温度が上がりすぎた時だけ、ルモンタージュを行う。熟成は5hl〜32.1hlの大樽のみ。大きさはばらばらで10年以上使用している古樽が中心。ある程度、ワインが安定してきたら全てをアッサンブラージュして、更に熟成を続ける。ボトリング直前に極少量のSO2を添加するが、醗酵から熟成に至るまでは一切無添加。
昔からのお客さんの為の極少量のロッソ・ディ・モンタルチーノとブルネロ・ディ・モンタルチーノ協会が認定した最良年のみリゼルヴァを生産しているが、どちらも中身に違いはない。 単純に熟成期間の違いのみだと言う。(輸入元資料より)
このブルネロを飲んでしまったら、もう、ソルデーラでも物足りないかもしれない。いやあ〜〜〜、ついに上陸してしまいました。「アレ、入ってくるんですよね。」どこで聞きつけてきたのか、当店に入荷する前からあちこちから問い合わせが…。日本上陸前から相当噂になっていたらしいのです。急ぐ必要など全くないのに。
こういう種類のワインは、【日本初上陸】だからとか、年間生産量がたったの9000本!とか、モンタルチーノ最高の北斜面のたった2,5haの畑からとか、日本への全輸入量がたったの○○本、などという謳い文句に踊らされることなく、ひとの口から口へぽつりぽつりと語り継がれ、少しずつ、じわりじわりと、その名声を知らしめてゆけるタイプの真に偉大なワインに違いないからです。いえ、そうしなければならないのです。だから、煽るようなことはしません。飲んでいただけば必ずわかっていただけるはずだから。
わたしはこのワイナリーを、当店でもお勧めしている同じブルネロの造り手サンタ・マリアのマリーノ・コルレオーネのマリーノ氏と一緒に、4月に訪問してきました。なんとパラディーゾとサンタ・マリアは目と鼻の先とでもいうべき近距離。でありながら、畑を訪ねるのははじめてだという。ワインの銘醸地というのは意外に閉鎖的で、何十年も隣合わせに働く畑の持ち主のワインを飲んだことがないという話などざらです。というよりむしろ好んで「隣人のワインは飲まない」造り手のなんと多いことか。そのマリーノがパラディーゾのワインをすべてテイスティングして「ああ、どれだけ努力すれば、こんな高みにまでたどり着けるのだろう…。遠い、あまりにも遠い。」と呆然としたのち、「がんばらなきゃ…」とぼそり。<そしてくるりと私に向き直り、「ヨーコ、ここへ連れてきてくれた意味がわかったよ。心から感謝する。」と真剣な目で話していました。ちなみにマリーノがそれまでモンタルチーノで尊敬している造り手はジャンフランコ・ソルデーラただひとり、でした。これでふたりになってしまいましたね。(元店長サノヨーコ 2008年初入荷時のメルマガより)
※写真は左からフローリオ氏と奥様、フォルトゥナータおばあちゃん、ジョイアとシルヴィア姉妹。下は50年以上無施肥・無農薬の畑。