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ドメーヌ・モン
Domaine Mont ドメーヌ・モン
ドメーヌ・モンは、ドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦氏の下で2年間、栽培と醸造を研修した山中敦生(ヤマナカ・アツオ)が、2016年春から独立し北海道余市郡余市町登町の標高50mに位置する約3ha(栽培面積は1.8ha)の畑で初年度にピノグリのみを2、200本植樹した小さな農園兼醸造所です。(2018年までにピノグリ6,000本〜7,000本植樹予定)
畑のある場所は15年以上耕作放棄されていたので白樺や松などが生え、森と化していました。そこをチェーンソーで1本1本切り倒し、枝を払い、運び出し、抜根して整地しました。畑は日当たりの良い東向きの傾斜地で水はけも良く、長年使われていなかったので農薬や除草剤、化学肥料などは残留しておらず、ミミズをはじめテントウ虫やクモ、バッタ、蟻など多様な生物が多く生息している畑です。
畑からは日本海とヒロツヴィンヤードが一望できる壮観な景色で、日の出から畑に陽が差し込み、風通しも良い恵まれた環境です。この畑の前の持ち主だった飯野家は1897年(明治30年)に飯野鉄次郎が富山県からこの地に入植し4代続いた農家さんでした。傾斜地であるのでお米の栽培はできず、当時はトウモロコシやヒエ、アワ、馬のエサなどを栽培していたそうです。100年以上前に開墾した歴史ある畑を引き継ぐことができたことに感謝するとともに畑の歴史を途絶えさせぬように、日々、農作業に精進していきたいと考えています。
ワインは醸造酒です。醸造酒とは簡単に言うと原料を酵母の働きで発酵させて造るお酒のことで、米が原料の日本酒、麦が原料のビール、葡萄が原料のワインなどがあります。どの醸造酒も発酵するには糖分、水分、酵母が必要です。日本酒の原料の米もビールの原料の麦も水分は極わずかしかなく水分を加えないと発酵しませんし、糖化というプロセスも必要な為、醸造に高度な技術や設備が必要とされています。また原料に水分がほとんどないということは輸送や保存が可能ということです。そのため収穫年の差や何処でとれた原料かということや、栽培方法や栽培する農家さんはどういった人物かということよりも醸造する人や会社の色が濃く出やすい傾向にあると思います。 ( もちろん一部例外もあります)
それに対してワインの場合、葡萄自体に高い糖分が含まれ、果汁という水分があり、野生の酵母も葡萄の果皮に付着しています。果実に水分を多く含んでいるので基本的に輸送や保存には適しておらず、畑でとれた葡萄の出来がそのままワインに反映しやすいのです。それゆえワインは畑が大切だといわれます。畑での農作業が重要なのです。また除草剤、化学肥料、化学農薬を使わない栽培や、醸造において乾燦酵母は使わずに野生の酵母で発酵させたり、 亜硫酸やポンプの使用を極力減らしたりとなるべくワインに負荷をかけずに造るといった思想は規模が小さければ小さいほど色濃く反映し、「農」と「人」を感じられる自然なワインがつくれると考えています。